日本国内でPlayStation®フォーマットに向けて発売されたタイトルの中から選ばれた、ヒット作品を表彰するPlayStation®の祭典「PlayStation®Awards」(以下PS Awards)。1994年から始まって今年で19回目を迎え、延べ270を超えるタイトルが表彰されてきたこのイベントが、今年も12月3日(火)に開催となります。

PS Awardsには、累計出荷数(配信数)100万枚(DL)を超えたタイトルが対象のPlatinum Prize、累計出荷数(配信数)50万枚(DL)を超えたタイトルが対象のGold Prizeと出荷本数による表彰に加えて、ユーザーのみなさんからの投票による上位10タイトルに贈られるユーザーズチョイス賞も存在。本年度のPS Awardsのユーザーズチョイス賞については、今年も10月1日(火)より「プレコミュ」でユーザー投票の受け付けがスタートしています。

この年に1度のビッグイベントに先駆け、「プレコミュ」では前回のPS Awards2012受賞タイトルのクリエイターの方々に、特別インタビューを実施! 受賞の思い出や、今だから話せる受賞タイトルについてのエピソード、ユーザーに対する思いなどを存分に語っていただきました!

第14回目のインタビューとなる今回は、ユーザーズチョイス賞を受賞したPlayStation®Vita専用ソフトウェア『イース セルセタの樹海』のプロデューサー、近藤季洋氏にお話をうかがいました!

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近藤季洋氏:日本ファルコム代表取締役社長であり、「イース」「軌跡」シリーズではプロデューサーを担当。開発の現場に深く関わり、同社タイトルのイベントにも積極的に出演。シリーズファンの間でもおなじみの人物だ。

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──昨年度は『イース セルセタの樹海』がユーザーズチョイス賞を獲得されました。改めてご感想をお願いします。

『イース セルセタの樹海』は、PS Vitaという初めてのハードで開発したタイトルです。上手くいくのかな?というプレッシャーもありましたし、まだ分からないことも多かったので、開発スケジュールが厳しかったのをよく覚えています。でも、そんななかでキチンと完成できたので、他のタイトルと比べても喜びはひとしおでした。PS Vitaは画面が綺麗なハードですから、そこで完成度の高いグラフィックを実現していく喜びもあり。開発中は苦労よりも楽しさのほうが大きかったです。


──日本ファルコムさんのタイトルにとっては3年連続のユーザーズチョイス賞受賞となりました、感慨もひとしおかと思います。

"ファルコムタイトル"という視点からはそうなんですが、過去2回は「軌跡」シリーズでの受賞でした。僕らがPCでゲームを発売しているときはまだ、「軌跡」のほうが「イース」を追い掛けている立場だったんですが、PlayStation®を基盤にしてからは「軌跡」が先にあり、「イース」がそれを追い掛ける立場になりました。今回はその「イース」での初受賞。僕自身は3年連続で登壇させていただいていますが、初めていただいた賞のように感じています。

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──「イース」はシリーズ開始から今年で26年目を迎えた長寿作です。『イース セルセタの樹海』のユーザーさんは、古くからのファンの方と新規の方、どちらが多かったのでしょう?

手応えとしては、両方いらっしゃったと思います。従来の「イース」ファンの方々がPS Vitaという新ハードを買って遊んでいただいたパターンは当然多かったのですが、PS Vitaを既にお持ちで"PS VitaにアクションRPGが出た、じゃあやってみようか"というユーザーさんが、他のハードのときよりも多かった。シリーズの裾野も広げられたかと思います。たしか、ユーザーズチョイス賞でいただいたなかにも"初めて「イース」をプレイしたけど面白かった"というコメントも多く寄せられました。新旧のユーザーさんに評価をいただけて、本当に嬉しいです。


──開発チームの皆さんは、今回の受賞をどう受け止めていましたか?

ゲーム開発者にとってはユーザーさんの評価が何よりの糧ですから、最も嬉しい賞をいただけたなと。そして「イース」チームとしては「軌跡」に追いつけてホッとし、「軌跡」チームは「イース」に負けられない、と社内でも切磋琢磨の気運が高まりました。今のファルコムにとって、「イース」と「軌跡」は両輪となっているタイトルですし、その両輪が同じ賞をいただけて、ユーザーさんに感謝しています。


──では、近藤さんの授賞式当日の思い出をお聞かせください。

式の前は、控え室に錚々たるクリエイターの方々が一同に集まられるんですが、あれが授賞式のときより緊張するんですよ(笑)。でも昨年は僕も3回目ということで、声を掛けてくださる方もいらっしゃって、ありがたく思いました。よく覚えているのは、「ダンガンロンパ」プロデューサーの寺澤(善徳)さん。PS Awardsをきっかけに、いろいろな方と触れ合えるのは楽しいですし、業界で頑張っている方々がたくさんいらっしゃることを知ることができ、励まされます。僕個人も、昨年は"「軌跡」近藤"ではなく"「イース」近藤"としての登壇だったので、前とは違った緊張感がありました。

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──改めて、『イース セルセタの樹海』がユーザーさんに高く評価されたポイントはどこだったと思われますか?

まずはスピーディーなアクションかと思います。『イース セルセタの樹海』はRPGではありますが、3人パーティでのバトルがキモなので、いかに違和感なく気持ちよく爽快に遊べるかにはこだわりました。もうひとつこだわったのは、舞台となる樹海の広さです。記憶を失った主人公が、一度は訪れていたはずの未開の地を、新たに地図を書きながら進んでいく。そこでのバトルも、何時間でも飽きずに楽しめるように工夫を凝らしました。探索する面白さと、バトルの面白さはRPGの基本。言葉にするとシンプルですが、そこへのこだわりは、ユーザーさんからもたいへんお褒めいただきました。「軌跡」シリーズはお話の面白さ、「イース」シリーズはアクションだけプレイしても楽しいRPGを、いつも心掛けています。


──そこで気になるのが「イース」シリーズの今後ですが?

おかげさまで、「イース」も今年で26周年。スタッフの間に浸透した"イースイズム"を、きちんと踏襲しながら進化を続けたいと思っています。まだ具体的に次回作をお話できる段階ではないですが、次も当然、新しい要素を導入して形にしていきたいと考えていて。今はハードやネットワークの仕組みによってもゲームの在り方が変わってきているので、次をどうするか、今まさに練っている最中です。『イース セルセタの樹海』ユーザーさんからはPS Vitaのタッチ操作も大変評判が良かったので、さらに進化した「イース」をご提供できるよう、頑張りたいと思います。

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──ちなみに、最新作『英雄伝説 閃の軌跡』が発売された「軌跡」シリーズのほうはいかがでしょうか?

『英雄伝説 閃の軌跡』もこれまでのPSP®「プレイステーション・ポータブル」から、PlayStation®3/PS Vitaのマルチプラットフォームでの発売となり、トップビューから3Dへとグラフィック、システムも大きく変化しましたが、ひとつひとつの町やフィールドを細かく描いていく古き良きRPGの良きボリューム感を3Dでも追求し、RPGらしいRPGになりました。物語も新たな地方と新たな主人公達へと受け継がれましたので、新規のRPGファンの方にも遊びやすいタイトルになったと思います。また「軌跡」シリーズは、来年6月で10周年を迎えます。開発チームも休みなく、そこを目標に新たなプロジェクトに取りかかっていますので、次の情報をお待ちいただければと思います。


──そんな近藤さんが、ゲーム作りで最も大切にしていることを教えていただけますか。

「イース」と「軌跡」シリーズもそうですが、タイトルごとに大切にすべきことは変わります。ですから、常に心掛けているのは「そのタイトルで何が大事か、それを表現するにはどうすべきか?」を考え続けることですね。あとは、"手触り"ですね。『イース セルセタの樹海』ならタッチ操作するUIの気持ちよさだったり。ほかにもメッセージテキストの表示も、うちのゲームはすべて3行以内。3行目もなるべく短くして、テキストを追わずにパッと意味が分かるようにすることを鉄則にしています。スムーズにゲームが進められないとユーザーさんのゲーム全体へのモチベーションも下がりますので、細かい詰めの部分にはとてもこだわっています。そういう細かいところを、いかに工夫するかも、ゲーム開発の醍醐味ですね。

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──どちらのシリーズも、プレイしたユーザーさんからの熱い支持が人気を支えていますが、近藤さんにとってユーザーさんとは、どのような存在ですか?

ゲームは、お客様がプレイすることで完成するものだと思うんです。実際に遊んで感じたことが化学反応となって、初めて"ゲーム"になるというか。なので、ユーザーさんはクリエイターにとって非常に大事なパートナー様なんです。そして、その皆さんから何かを言っていただけることが重要。僕の立場としても、"ユーザーさんがこう感じているんだから、ここは直さないと!"とスタッフに言いやすくなる……というのは冗談としても(笑)、お褒めの言葉は自分たちの方向が間違っていないことの確認になりますし、厳しいご意見にどう向き合うかで、自分たちのやりたいことを改めて示すことができる。皆さんのコメント全てが、チームの励みになりますね。


──最後に、ユーザーズチョイス賞に投票くださった皆さん、日本ファルコムさんのゲームに期待する皆さんに、メッセージをお願いします。

先日の東京ゲームショウではPlayStation®4、新型PS Vita、PS Vita TVと新発表が続き、PlayStation®に寄せられる期待も非常に高まっていて、そこに作品を送り出している我々も大きな手応えを感じました。そこで僕らの作った作品を展開できるのは開発のモチベーションにも繋がりますし、新ハードにもぜひチャレンジしたい。ハード同士の連携が進むことで新しい企画も考えられますし、クリエイターとしてもユーザーとしてもワクワクします。プラットフォームの展開に合わせて、僕らも進化していきたいと思いますので、今後の日本ファルコムにもぜひご期待ください。

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いかがでしたか?

冒頭でもお伝えした通り、「プレコミュ」のアンケートコーナーで、今年のPS Awardsのユーザーズチョイス賞選考のためのユーザー投票が、11月5日(火)まで実施中です。今年遊んだお気に入りの1作を生み出してくれたクリエイターのみなさんに、自分の声を直接届けるチャンスですので、ぜひぜひ投票にご参加ください!

次回、 インタビュー第15回は10月30日(水)公開予定。PS3®用ソフトウェア『DARK SOULS with Artorias of the Abyss Edition』の宮崎英高氏にご登場いただきます。お楽しみに!


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